製材

木の命を適材適所に生かす。

材として強く、美しく仕上がるか。
一本の丸太から少しの無駄もないように。

原木から部材の原板を切り出していく作業です。原木自体が曲がっていないか見極めることはもちろん、製材する中で、曲りを修正する必要があります。丸太を割る前にどういう方向に刃を入れるか、反りの方向が板に割った後どうなるか、年輪の形、芯の偏りが外観の反りと比較してどうか、樹皮の目にも丸太のねじれが出ていることがあります。枝節を切った跡で内部の節を推測し、節の数でも内部の反り方向を推測できます。
木材一枚の中での反りのバランスもあり、材の端を挽き落とした後そのバランスが変わり、真っ直ぐの板が反ってしまったり、反りが小さくなったり、反りが逆方向になる場合もあります。製材する中で、年輪の中にはキツツキが開けた穴を見つけることも。木は山で生きていたのだと実感します。

お日様に当てたり、風に吹かれたり、雨に濡れたり。
それが木にとって一番いい。

語りかける木の、繰り返す日々の対話は心地よく、時に、悩ませる。

製材した木は3~4か月乾燥させます。木には天然乾燥が良く、風によく当たるよう自然に、じわじわと乾燥させていきます。人工的に機械乾燥させた木は、むずかしくなると職人は言います。突然狂いが出たり、割れたりすることがあると。機械乾燥させた木はすぐに使わず、もう一度天然乾燥で、自然の状況に材料をなじませていきます。
乾燥後、出来るだけ素直な木を見定めるのですが、カビや割れ、曲りがあればそこを避けて使い、厚みがあればこれに使える、この幅では取れないから他の部材に使おう…。など、色合い、目の流れ、ひねり、曲り、それを一つ一つ目視で見ることを繰り返していきます。
木は真っ直ぐ立って生きていたとは限らず、傾斜に生えていた木は曲がって立ちます。そこで負荷がかかり、木の目は固くなり性質も変わります。そういった木はどれだけ削っても曲がってしまう、木を加工していく中でしかわからない、それが生きたものを扱うという事なのかもしれません。