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無垢材の反り・割れは乾燥処理で変わる?含水率の目安と、天然乾燥・人工乾燥の違いについても解説

素材の話

無垢材の家に惹かれながらも、「反りや割れ、すき間が出るのでは」と気になる方は少なくありません。しかし、こうした変化は無垢材だから仕方ないものではなく、乾燥処理と木材の使い方次第でおさえられます。

乾燥の目安となるのが、木材に含まれる水分の割合を示す「含水率」です。求められる基準は用途によって異なり、JAS(日本農林規格)では、柱や梁などの構造材は20%以下、床や壁などの仕上げ材は15%以下の区分が設けられています。ここまで乾燥させれば、住み始めてからの縮みやすき間が生じにくくなります。

本記事では、乾燥処理の基本、反り・割れをおさえる工夫に加え、JAS基準の含水率を満たす材は15%以下の材を使う無垢ストーリーの取り組みを解説します。

 

Contents —目次—

  1. なぜ、無垢材は乾燥処理が必要なのか?
  2. 無垢材の含水率は何%が目安?
  3. 「天然乾燥」と「人工乾燥」の違いとは?それぞれの特徴を比較
  4. 乾燥させた木材なら、反りや割れは防げるの?
  5. 無垢ストーリーでは、無垢材の反りや割れをどのように防いでいる?
  6. よくある質問
  7. 無垢材の反り・割れは、乾燥・木の使い方・現場管理でおさえられます

なぜ、無垢材は乾燥処理が必要なのか?

無垢材の乾燥処理は、施工後に木が大きく縮み、床にすき間ができるのを防ぐために重要です。乾燥処理が必要な理由を、木材に含まれる水分と収縮の関係から解説します。

施工後に木が縮み、すき間や不具合が出るのを防ぐため

乾燥が不十分な木材を使うと、住み始めてから水分が抜け、床板の間にすき間ができたり建具に不具合が生じたりする可能性があります。完成後に大きく縮んでしまうと手直しも簡単ではありません。だからこそ、施工前に木材を適切な状態まで乾燥させておく必要があります。

伐採したばかりの木は、多くの水分を含んでいる

木は成長する過程で根から水分を吸収し、幹や枝に蓄えています。樹種によっては、木そのものの重さより水分のほうが重いことも。この水分は、製材して空気に触れると少しずつ抜け、最終的には周りの空気の湿度と釣り合った状態で落ち着きます。使う前にこの状態に近づけておくことが、乾燥処理の役割なのです。

水分が抜けるときに、木は縮む

木に含まれる水分には、細胞の中や細胞同士の間にたまった「自由水」と、細胞の壁にしみ込んだ「結合水」の2種類があります。先に抜けるのは自由水で、この段階では木はほとんど縮みません。縮み始めるのは、自由水が抜けきって結合水が減り始めてから。細胞の壁から水分が抜けると壁そのものが痩せるため、木全体が小さくなります。

ただし、乾燥後も木は湿度に合わせて水分を出し入れするため、伸び縮みが完全になくなるわけではありません。

参考資料: 新潟県森林研究所「木材と水分について」より

無垢材の含水率は何%が目安?

無垢材の乾燥状態を判断する目安となるのが「含水率」で、目安は15%前後。木材は周りの湿度と釣り合うところで含水率が落ち着き、日本の平均的な環境ではそれがおよそ15%になるからです。

含水率とは、木材に含まれる水分の割合

含水率とは、木材に含まれる水分の量を、水分を完全に抜いた木材の重さに対する割合で表したものです。 計算式は「水分の重さ÷乾ききった木材の重さ×100」。水分を除いた重さを基準にするため、伐採したばかりの木だと100%を超えることも珍しくありません。数字が小さいほど乾燥が進み、住宅に使える状態に近づきます。

住宅の木材は、使う環境に合った含水率まで乾燥させることが大切

自然の環境では含水率はおよそ15%ですが、冷暖房の効いた住宅の中ではさらに下がる傾向があります。そのため、木材は使う場所に合わせて乾かしておくことが大切。無垢ストーリーではJAS基準の含水率を満たす材として、構造材に20%以下、床材や建具材などの仕上げ材に15%以下の材を使用しています。

「天然乾燥」と「人工乾燥」の違いとは?それぞれの特徴を比較

木材の乾燥方法は、主に「天然乾燥」と「人工乾燥」の2つに分かれます。天然乾燥は時間をかけて自然に乾かす方法、人工乾燥は乾燥機で短期間に乾かす方法です。どちらか一方が優れているのではなく、それぞれに長所と短所があります。

天然乾燥とは

天然乾燥とは、製材した木材を屋外に積み、風や日光の力でゆっくり乾かす方法です。材と材の間に「桟木(さんぎ)」と呼ばれる角材を挟んで積み重ね、道風の通りをつくるのが基本。 低い温度で時間をかけて乾かすため木への負担が少なく、色や艶を損ないにくいのが長所です。雨や日光にさらされることで木の中のアクが抜け、色味が落ち着く効果もあります。

一方で、乾燥には数ヵ月以上かかり、天候にも左右されます。また、天然乾燥で下げられる限界は周りの空気と釣り合う含水率まで。冷暖房で乾きやすい室内で使うと、施工後にさらに縮む恐れがあります。

人工乾燥とは

人工乾燥とは、乾燥機の中で温度・湿度・風の量を調整しながら木材を乾かす方法です。もっとも一般的なのは、蒸気で温めながら乾かす「蒸気式」。他にも、電磁波で木の内部から温める「高周波式」があります。条件を細かく管理できるため、目標の含水率まで確実に下げられるのが長所。一般的には7〜10日ほどで仕上げられます。

ただし、高い温度で急いで乾かすと表面と内部の乾き方に差が出て、反りや割れなどの損傷が起きることも。乾燥機を動かすための燃料や電気の費用もかかります。

天然乾燥と人工乾燥はどちらがいい?

天然乾燥と人工乾燥は、どちらか一方が優れているわけではありません。現在は、2つを組み合わせる方法が多く用いられています。水分の多い乾燥初期は天然乾燥でじっくり水を抜き、乾きにくくなる含水率30%前後からは人工乾燥で仕上げる。そうすることで、木への負担や乾燥にかかる時間・費用をおさえながら、住宅に合った含水率まで乾かせます。

大切なのは「どちらの方法か」よりも、「最終的に何%まで乾かした材か」です。木材を選ぶときは、乾燥方法と併せて含水率も確かめておくと安心。 以下はそれぞれの特徴を比較した表です。

 

天然乾燥

人工乾燥

乾かし方

屋外で風や日光を使って自然に乾かす

乾燥機で温度・湿度・風量を調整して乾かす

乾燥にかかる期間

数ヵ月以上

7~10日ほど(一般的な目安)

下げられる含水率

周りの空気と釣り合う程度まで

目標の含水率まで確実に下げられる

木への負担

少ない

高温で急いで乾かすと反りや割れが生じる可能性がある

色・艶

損ないにくい

条件によって変わることがある

天候の影響

受けやすい

受けにくい

作り手の手間・コスト

燃料費はかからないが、保管の場所と時間が必要

燃料や電気の費用がかかる

乾燥させた木材なら、反りや割れは防げるの?

乾燥させた木材でも、反りや割れは完全には防げません。乾燥でおさえられるのは縮みで、反りや割れには木の性質や使い方、施工中や住み始めた後の環境も関わるからです。

乾燥でおさえられるのは主に「縮み」

十分に乾燥させた木材は、住み始めた後に大きな縮みが出にくくなります。ただし、反りや割れは縮みとは別の原因でも起こるもの。1つは、木そのものの性質です。成長の過程で曲がって育った木には、「アテ」と呼ばれる硬い部分が含まれていることがあります。アテを含む材は、まっすぐに製材しても、もとの曲がった形に戻ろうとして反りやすいのです。

もう1つは、乾燥後の水分の出入りです。乾燥機から出した後でも、木は空気中の水分を吸収します。その水分が風や日差しで乾くときに割れが生じることもあるのです。

反りや割れは、木目の選び方や補強でおさえられる

反りや割れは、木目に合わせて材を使い分けたり補強したりすればおさえられます。木は、年輪に沿った方向と年輪と直角の方向とで縮み方が異なるもの。例えばスギの場合、年輪に沿った方向の縮みが、直角の方向のおよそ3倍にもなるとされています。年輪が平行な縞模様に見える「柾目(まさめ)」は、板の表と裏で縮み方がそろうため、反りや変形が少ないのが特徴です。

一方、山形の模様が出る「板目(いため)」は木目の美しさが魅力ですが、表と裏で縮む量に差が出るため反りやすくなります。そのため、狂いが許されない部分には柾目を使い、板目を使う部分は裏から補強するのが一般的な工夫です。

施工中は、木材を濡らさない管理が欠かせない

しっかり乾燥させた木材でも、施工中に濡れてしまえば再び水分を吸って含水率が上がります。濡れたまま床や壁に組み込まれると、住み始めてから乾いて縮み、すき間や反りの原因になることも。乾燥処理を無駄にしないためには、運搬や保管のときに雨を避ける養生や、天候を見ながら作業を進める配慮が必要です。よい木材を選ぶことと同じくらい施工中の扱い方が仕上がりを左右します。

住み始めてからの伸び縮みは、湿度管理で小さくできる

完成した無垢材の家であっても、木は室内の湿度に合わせて水分を出し入れし、わずかに伸び縮みします。季節によって床板のすき間が開いたり閉じたりするのは、無垢材の自然な性質。無垢ストーリーの家でも床材が1〜2ミリほど縮むことがありますが、気温や湿度に合わせて元に戻ります。この動きを小さくするには、室内の湿度を40〜60%に保つのが目安です。

無垢ストーリーではお客様に温湿度計を用意してもらい、この範囲を保つようお願いしています。湿度が40%を下回ると木が縮んで割れが出やすくなり、60%を超えるとカビや結露の原因になるからです。

また、温風ヒーターの風が床に当たり続けると、その部分だけ3〜4ミリほどすき間があくことも。使用をやめれば時間をかけて戻りますが、ヒーターの向きを変えたり敷物を敷いたりする工夫が大切です。

無垢ストーリーでは、無垢材の反りや割れをどのように防いでいる?

無垢ストーリーでは、反りや割れへの対策を「乾燥処理」だけに頼っていません。木を乾かす段階、木目を見極めて使う段階、木材を現場へ届ける段階など、それぞれに工夫を重ねています。以下で具体的な取り組みを紹介します。

天日で乾かした後、乾燥機で仕上げている

無垢ストーリーでは、本社工場で製材した木材を、最低でも2ヵ月、通常は3〜4ヵ月間屋外の土場で天日乾燥させます。その後、蒸気式の乾燥機で仕上げ、JAS基準の含水率を満たす状態にしています。

先に天日で乾かすのには、木の色を整えるため。というのも、製材したばかりの木は空気に触れると黒褐色に変わることがあります。まるで刻んだごぼうの色が変わるように、木もアクが酸化するため黒褐色に変わると考えられています。この色を戻すのに必要なのが、天日による乾燥なのです。

使う場所ごとに含水率の基準を決め、測って確かめている

含水率の基準は木材を使う場所によって分けています。 床材や建具材、枠材、家具材は15%以下。構造材は20%以下でJAS基準の含水率を満たす材を使用しています。 床や建具などの仕上げ材は、わずかな縮みでもすき間や反りとして目に見えやすい部分です。そのため、より低い含水率が求められます。

無垢ストーリーでは、本社工場で製材した木材は乾燥室から出したときに含水率計で測定。海外から輸入した家具材も、仕入れの時点で測っています。

建具の骨組みには反りにくい柾目を使い、反りやすい部分は補強している

無垢ストーリーでは家の構造や内装だけでなく、建具や造作家具も自社で手がけています。例えばスギの建具では、扉の外枠となる縦框(たてがまち)や横框(よこがまち)に、反りや変形が少ない柾目材を使用。家具の扉に木目の美しい板目を使う場合は、裏に反り止めの木を取り付けて、反りや割れを防いでいます。

また、キリの建具の場合は、柾目や板目を選ばずに使用。いずれの場合も、加工する前に反りや割れがないかを確認して、木材を使用しています。

乾燥させた木材は、雨に濡らさずに現場へ届けている

無垢ストーリーでは、雨の日に木材を運ぶ際、積み込んだ材を透明なビニールシートや遮熱シートで覆い、その上からトラック用の防水シートを掛けて搬送しています。さらに雨が降ると事前にわかっていれば、配達の日にちをずらすことも。

木を乾かす工程だけでなく、現場に届けるまでの扱い方にも気を配っています。

よくある質問

Q1 無垢材は乾燥させれば反りや割れは起こりませんか

反りや割れは、完全には防げません。乾燥でおさえられるのは「縮み」で、反りや割れは木の育ち方や木目の向き、乾燥後の湿気の出入りなど別の原因でも起こるからです。

そのため、乾燥に加えて木目に合わせた材の使い分けや、施工中に材を濡らさない管理が欠かせません。

Q2 無垢材の反りや割れをおさえるにはどうすればいいですか

家づくりの段階では含水率を十分に下げた材を選び、木目に合わせて使い分けることが基本です。また、施工中は雨で材を濡らさない養生も必須です。

住み始めた後に木の伸び縮みを小さくする工夫としては、室内の湿度を40〜60%に保つこと。また、温風ヒーターの風が床に直接当たらないよう、向きを変えたり敷物を敷いたりするのも効果的です。

Q3 反りや割れが生じたら、直せますか

多くの場合、補修で直せます。無垢ストーリーでは、建具の反りは金物の調整で解消。床材の割れや反りによる浮きは取り除いて貼り直し、床のすき間はパテで埋めて補修します。点検では目視に加えて建具を実際に動かして確かめ、不具合が出たタイミングで対応しています。

無垢材の反り・割れは、乾燥・木の使い方・現場管理でおさえられます

無垢材の反りや割れは、「無垢材だから仕方ない」ものではありません。木材を含水率15%前後まで乾燥させれば、住み始めてから大きな縮みをおさえられます。ただし、乾燥だけですべてを防げるわけではなく、木目に合わせた材の使い分けや、施工中に材を濡らさない配慮も必要です。

無垢ストーリーでは天日乾燥と乾燥機を組み合わせ、仕上げ材は含水率15%以下、構造材は20%以下のJAS基準を満たした材を使用しています。数ヵ月かけて天日で乾かした木が、どのような色や香りに仕上がっているのか。無垢ストーリーの工場で、ぜひ実際に確かめてみてくださいね。

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