COLUMN コラム
自然素材の調湿性とは?湿度を整え快適に暮らす「自然素材の家」
自然素材には調湿性があります。私たち人間と同じように呼吸をし、室内の湿気を吸ったり吐いたりして湿度を調節してくれるのです。
ただ、自然素材と言えばなんでも同じように調湿するわけではありません。効果は、素材の種類、使われている面積、仕上げの方法によっても変わってきます。
また、家全体の湿度環境は、断熱や気密、換気性能と合わせて考えていくことも大切です。
本記事では、無垢材や漆喰をはじめとする、自然素材が調湿する仕組みや調湿効果によるメリット、家全体の湿度環境を考える上で知っておきたいことをまとめました。
Contents —目次—
自然素材が調湿する仕組み
呼吸する素材が湿度を調整してくれる
無垢の木や漆喰といった自然素材には、肉眼では見えない微細な孔が無数に空いています。この孔が、周囲の湿度に応じて水分を出し入れしています。
室内の湿度が高いときには、空気中の水分を孔の内部に取り込み(吸湿)、反対に空気が乾いてくると、蓄えていた水分を室内に戻します(放湿)。まるで呼吸をしているかのように湿気が出入りし、空気中の湿度を調整してくれるのです。

呼吸する素材は、天然の素材が基本です。
わたしたち人間と同じように空気を吸い、水や養分を摂って大きくなった植物からなる素材。人間もいずれは帰る、土からなる素材。これらの「自然素材」を使った家は、人に優しく快適に過ごしやすいです。
調湿効果によるメリット
自然素材が湿度を調整してくれることで、室内を快適に保つことができます。では、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか?
梅雨時のベタつき、冬の過乾燥がやわらぎます
梅雨は、ジメジメとしてベタつく感覚がとっても不快ですよね。調湿性に優れた自然素材は、お部屋の余分な水分を吸い取ってくれるため、梅雨の時期でも空気がカラッと爽やかです。
効果をいちばん感じていただきやすいのは、足の裏の感触かもしれません。
合板で出来たフローリングは、見た目は良いのですが呼吸をしないので、 素足で歩くと足の裏がベタベタして気持ちが悪いのが欠点です。
無垢のフローリングは、素足で歩くと足の裏の湿気を吸ってくれるので、 サラサラしてとても気持ちが良いのです。

冬場は反対に空気が乾燥します。すると、素材が蓄えていた水分をゆっくりと放出してくれるので、乾燥の進み方がゆるやかになります。
無垢フローリングの普段のお手入れは、固く絞った雑巾で拭くだけですが、冬場は軽く絞った雑巾で拭くのがおすすめです。木に水分を吸わせることで、無垢のフローリングがゆっくりと水分を吐き出し、自然の加湿器のように湿度を調整してくれます。
体感温度が変わります
湿度は体感温度に大きく影響し、同じ室温でも「暑い・寒い」の感じ方が変わります。
夏は、湿度が低いほど汗が蒸発しやすくなり、体から熱が逃げるため涼しく感じられます。冷房の設定温度を下げなくても、湿度が下がるだけで体感が変わるのはこのためです。
冬は逆に、空気中にある程度の水分があったほうが暖かく感じられます。水分は熱を蓄える性質があるため、極端に乾いた空気よりも、熱が逃げにくくなります。
体感温度が変わると、快適に過ごしやすくなりますね。
湿度が安定すると、カビやダニが発生しにくくなります
カビやダニは湿度が高い環境で活発になります。一般的に、湿度60%を超えるとカビが繁殖しやすく、ダニも増えやすいとされています。反対に40%を下回ると、ウイルスが活動しやすくなり、喉や肌の乾燥も気になってきます。

つまり、快適さと健康の両面から見て、湿度は高すぎても低すぎてもいいわけではなく、適切に保つことが重要です。自然素材の調湿性は、空気中の水分量に合わせて湿気を吸ったり吐いたりしてくれるため、湿度が安定しやすくなります。
加えて漆喰には、素材そのものに抗菌作用があります。漆喰の主原料である消石灰は強いアルカリ性を持つため、カビや雑菌が繁殖しにくい環境をつくります。
素材ごとの調湿性能
無垢ストーリーで採用している自然素材には、無垢材・漆喰・自然塗料・紙クロスなどがあります。大きく分類すると、自ら湿気を吸放出する素材と、その働きを妨げない素材に分かれます。
無垢材

無垢ストーリーでは、床や建具、家具などに無垢材を使用しています。
無垢材の調湿性については、九州大学などの研究グループが発表した論文で、その効果が示されています。
実験では、内装に木の無垢材を用いた部屋と、木目調のビニルクロスを用いた部屋を用意。5〜6月の梅雨時期と、1〜2月の冬の時期に、人が寝ている間の室内の湿度を測定しました。
通常、人が寝ている間は、呼気や発汗等によって時間とともに湿度が上がっていきます。以下のグラフのようにビニルクロスの部屋(B棟)は時間が経つにつれて湿度が大きく上昇しました。
一方で、無垢材の部屋(A棟)は、季節に関わらずビニルクロスの部屋より湿度が低くなっています。無垢材が吸湿作用を発揮し、湿度の上昇を抑制した効果と考えられます。

出典:『内装木質化した建物事例とその効果-建物の内装木質化のすすめ- 』(公益財団法人 日本住宅・木材技術センター)
※資料内にて、清水邦義氏らの論文『スギの無垢材を内装に用いた室内空間における人滞在時の吸湿作用の検証』(木材工業)のデータとして紹介されているグラフを引用
特に、フローリングは無垢の床をおすすめしています。床のフローリングに使用する無垢材には様々な材種があります。
大まかな傾向として、杉やヒノキ、パインなどの針葉樹は密度が低く、内部の空隙が多いため、水分の出入りが大きくなります。一方、ナラやカエデ、サクラといった広葉樹は密度が高く硬いため、吸放湿量は針葉樹より小さくなる傾向があります。
リビング、ダイニングは使用頻度が高く耐久性が要求されるので、広葉樹のカエデやさくら、ナラなど硬い樹種のフローリングをお勧めしています。
杉やヒノキ、パインなどの針葉樹は温かみがあるので、子供部屋や寝室に良いと思います。
木にはそれぞれ特徴があり、同じ木でも人間と同じで一本一本見た目や癖が違います。 人それぞれ好みが違うので、一概にはどれが良いと言えませんが、実際に手にとって、 木の硬さや木の持つ温度などを確かめて選定していただきたいです。
漆喰
漆喰は、石灰を高温で焼いて冷やした消石灰に、「つのまた」という海藻を干して細かく砕いたスサを混ぜ合わせ、水で練って壁に塗る材料です。世界中で古くから使われてきました。

無垢ストーリーでは、漆喰の効果や見た目が最も有効に働く、玄関、LDK、トイレ、洗面室の内壁に漆喰を標準採用しています。
漆喰の割れを防ぐために使用するつなぎには、麻や木の繊維などの植物繊維、和紙やスサを使用。ザラっとした風合いのある壁に仕上げるために、大理石の粉を混ぜて使用しています。
市販で売られている漆喰の中には、合成樹脂や合成繊維をつなぎとして使用されている場合もあるようですが、無垢ストーリーの漆喰は、のりやつなぎも含めて100%天然素材を使用した漆喰です。調湿効果だけでなく、消臭力、殺菌効果も十分に感じていただけると思います。
漆喰と並んでよく比較される素材に珪藻土があります。似てはいますが、漆喰と珪藻土は全く違うものです。
珪藻土は植物が堆積してできた化石です。調湿性に優れているのが特徴ですが、調湿性が高いことで空気中の雑菌を吸い込みカビが発生することがあります。

また、珪藻土は化石であるため自らは固まらず、合成接着剤が使用された製品も多いです。これらは自然素材とは言えません。
漆喰は歴史のある自然素材で、強アルカリ性であるため細菌やカビの繁殖を抑える効果があります。
漆喰の原料である消石灰は、空気中のCO2と結合し100年かけてもとの石灰石に戻っていきます。CO2削減効果もある環境に優しい建材です。
自然健康塗料「リボス」
調湿性を意識して無垢材を選んでも、仕上げによってはその働きがほとんど失われてしまいます。
化学塗料は、木の表面に塗膜を形成し木を保護します。塗膜を張った木はサランラップで包み込んだ状態と同じで、 調湿性は失われ呼吸することができません。
無垢ストーリーでは、仕上げに使う塗料に、木の呼吸を妨げない自然健康塗料「リボス」を使っています。

リボスは、主成分の亜麻仁油が木の内部まで浸透して、内側から木を保護します。表面に膜をつくらないため、木の吸放湿を妨げません。
これにより無垢のフローリングが呼吸をし、余分な室内の湿気を吸ったり吐いたりして湿度を調整してくれます。
紙クロス「オガファーザー」
一般的なビニールクロスは塩化ビニル樹脂のフィルムなので、湿気をほとんど通しません。下地に調湿性のある素材を使っていても、表面がビニールで覆われていれば、呼吸が妨げられてしまいます。
無垢ストーリーでは、ドイツ製の再生紙を利用した紙クロス「オガファーザー」を使用しています。
木を細かく砕いたウッドチップを混ぜてつくられており、自然な風合いがでます。紙と木でできているため通気性があり、下地の透湿も妨げません。

無垢ストーリーの家は、寝室、子供部屋、クローゼットの内壁に、オガファーザーを標準採用しています。
この紙クロスの上に「自然健康塗料リボス」の石膏系水生塗料を塗り、自分の好きなカラーを楽しむこともできます。日曜大工が好きな人なら5年後10年後にメンテナンスの塗り替えも自分で行うことができます。
「オガファーザー」は木と紙でできた有害物質をまったく含んでいない、エコロジーな建材です。
自然素材の調湿にできないことと、効果が出る条件
優れた調湿性をもつ自然素材ですが、自然の作用に伴うものなので、湿度環境を完璧にコントロールできるというわけではありません。自然素材の特徴を理解し、より効果的に調湿性を活用しましょう。
湿度の制御はできません
自然素材の調湿性は、エアコンや除湿機のように、湿度を制御する機能ではありません。指定した湿度になるよう制御できるわけではないため、ある程度自然の作用にゆだねる部分があります。
一度に吸湿できる量には限界があります
自然素材が一度に蓄えられる水分の量には限界があります。
湿度が高い状態が続けば、吸収できる水分量の上限をむかえてしまい、それ以上は吸えなくなってしまうことも。
吸った水分はどこかで放出する必要があるため、換気など放湿の仕組みも一緒に考えるとよいでしょう。
空気に触れる面積で吸放湿できる量が変わります
どれだけ調湿性能の高い素材を使っても、空気に触れている面積が小さければ、効果は小さくなります。
たとえば、リビングに無垢の柱が1本だけ出ている家と、床・壁・天井のすべてに調湿する素材を使っている家では、湿気の出入りに関わる面積がまったく違いますよね。一言に「自然素材を使った家」と言っても、実際の効果には大きな差が出ることでしょう。
仕上げしだいで、調湿性はなくなります
せっかく優れた調湿性をもつ自然素材を選んでも、仕上げで呼吸を妨げてしまえば調湿性は失われてしまいます。

無垢のフローリングに化学塗料を塗る、調湿性のある下地の上にビニールクロスを貼るなどの仕様では、自然素材が吸放湿できなくなってしまいます。
自然素材の呼吸を妨げる仕上げになっていないか、確認してみてくださいね。
調湿効果をより高める、断熱・気密・換気
家の中で快適に暮らすためには、室内の湿度環境が大切ですよね。室内に出入りする空気の流れや温度環境をコントロールできれば、自然素材の調湿性をより効果的に活かすことができます。
調湿性を効率よく働かせる気密性
「高気密の家だと、木が呼吸できなくなるのでは」という質問をいただくことがありますが、気密性は、自然素材の調湿効果を高めるためにも重要です。
気密性が低い家では、たとえば梅雨時に湿った外気が室内に入ってきてしまいます。外からの空気で室内の空気中に含まれる水分量が増えてしまえば、自然素材が吸湿できる水分量を超えてしまいやすくなりますよね。
気密性が高ければ、想定外に室内に外気が入ってこないので、より効率的に室内の調湿ができるようになります。
高い断熱効果が結露を防ぎ、調湿性を保つ
特に冬場のお悩みに多い結露。結露を防ぐには、断熱性能が大きく関係します。
結露は、湿度だけでなく、空気が触れるものの表面温度も関係しています。空気中の水蒸気(湿気)が冷やされて、水滴に戻る時に発生するためです。

液体になってしまった水分は、自然素材の吸放湿では対処することができません。
断熱性能が低いと、窓や壁の表面温度が下がって室内の温かい空気と温度差が生まれてしまいます。断熱性能が高いと、窓や壁の表面温度が下がりにくくなるため、調湿性が働く温度環境を維持することにもつながります。
吸った湿気を放出するための換気
自然素材の吸湿は、水分を一時的に蓄える仕組みです。蓄えた水分を放湿できないと、調湿作用を保つことができません。そのためには、換気によって空気を入れ替えてあげる必要があります。
また、計画換気は、気密が確保されていなければ設計どおりに機能しません。すき間から空気が抜けてしまい、意図した経路で流れないためです。
気密・断熱・換気の性能はセットで考えることが重要です。
まとめ
このように、自然素材は呼吸をしているので調湿性があります。湿気大国日本には適した素材です。
ただしそれは、湿度を一定に保つ機能ではありません。呼吸を妨げない素材の仕上げや、気密・断熱・換気まで含め、家全体の湿度環境を考えて行くからこそ、より快適に暮らせる「自然素材の家」になると考えています。
「自然素材の家、本当に快適なの?」と思った方は、ぜひ展示場や完成見学会に参加いただき、その心地よさを五感で感じていただけたらと思います。
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