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昨今の住宅は、わたしたちが幼かった頃暮らした住宅とは
ずいぶん様変わりしている。
わたしが幼い頃住んでいた家は、築40年ぐらいであったとは思うが、
和瓦に漆喰壁、タタミ敷の居間に無垢板の廊下、木のガラス戸に木の
雨戸、戸を開けなくても"スースー"とかすかなすき間風が吹いて、冬は
寒かったが部屋の空気は澄んでいた。家に帰ると古くなった木の匂いがして、
デコボコした無垢板の廊下を駈け抜けた奥に自分の部屋があった。
土壁に塗ってある繊維壁の金粉がこすれると取れてあちこちに落ちていた。
そんな家に住んでいたが、その頃「アトピー」や「シックハウス」などという
言葉は聞いたことが無かった。わたしは幼い頃、今で言う「アトピー」なのか
分からないが、よく体をかきむしってはいたが、血が出るまでかいたことは
ないし薬を付けることもなく治ってしまった。
ちなみに「シックハウス」とは、家を建てるときに使用するベニヤや壁紙など、
住宅建材の中に含まれる接着剤から放出される有害なガスによってアレルギーが引き起こされ、
発症すると激しい喘息やアトピーになり、全身がかゆく血が出るほど肌をかきむしる症状に襲われる病気のことを言う。
今の住宅は密閉性・断熱性が良く、幼い頃わたしが住んでいた家と比べると遥かに居住性が良くなっている。
「冬暖かく、夏涼しい」まさに昔憧れた住宅が今現実に建てられている。床はフローリングでデコボコは無くワックスでピカピカ、壁はクロス貼りですっきりと仕上がっていて、こすっても金粉が落ちることは無い。シックハウスの問題も24時間まわす換気扇が付いていて有害ガスを排出しているから解決している。システムキッチン・システムバス・ウォシュレット・オール電化に太陽光発電など快適装備満載の夢の住宅である。
しかし、何かがおかしい。
これが本当に自分が求めていた住宅なのか? 「家」とは何なのか? そんな疑問が湧いてくるのはわたしだけなのだろうか?
当社は創業以来、注文住宅一筋50年になる工務店で、私はこの会社に入社して25年になる。自然素材の家づくり「無垢ストーリー」を通じて、今までに数百棟以上の家づくりを経験した。
年々、設備機器・建築材料は改良され、わたしがこの業界に入った頃とはお客様のニーズも変わり、施工方法なども大きく変化して近代的で良質な住宅が造られている。お客様の希望をかなえる仕事をする傍らに、"自分の家だったらこうする"という思いをお客様に提案してきた。そんな中で湧いてきた疑問。昔住んでいた家は今思えば懐かしいが、とは言え昔の家に戻ることが良いと言っているのではない。時代と共に変化している生活習慣を無視して家は考えられない。色や形、デザインも家づくりにとって大切なことと考える。しかし、何かおかしい。自分が求める「家」について考えてみた。