呼吸する家
住宅は第三の皮膚
わたしたち人間の肉体は、70%が水分でできている有機体である。その肉体を外側で包み守っているものが皮膚である。皮膚は毛穴から汗をかき呼吸をする。皮膚から汗をかいたり、呼吸ができなくなると人間は死んでしまう。だから、わたしたちは肌に直接身に着ける衣服は呼吸できる素材を選ぶ。汗を吸い、通気性があり、肌触りの良い素材を選ぶ。このようにわたしたちの皮膚をやさしく包むこうした衣服は、第二の皮膚と言える。
わたしたちは人生の大半を室内、家の中で過ごしている。家はわたしたちを雨や風、暑さや寒さから守ってくれる。わたしたちは家の中の空気を吸って生きている。家の中では食事をしたり、お風呂に入ったり、洗濯をしたりして臭いや湿気を出して生活している。このようにわたしたちをまるごと包み込んでいる家は、第三の皮膚と言える。
第二の皮膚である衣服の素材に通気性が無かったら、人間のかく汗で蒸れて気持ち悪くなりその状態が続けば皮膚に異常を来たし病気にもなる。夏の雨の日にビニールカッパを着たことのある人なら容易に想像がつくことだろう。皮膚は常に呼吸し、汗をかいていることが解る。通気性が高く、保温性があり肌触りの良い衣服であればあるほど、わたしたちは快適に過ごすことができる。
第三の皮膚である家も同じことが言えるのではないだろうか。かいた汗が吸収され外に放出されていく衣服の様に、生活の中で放出される湿気や臭いを吸収し、外部へ放出する。通気性があり、室内の空気を吸って生きているわたしたちに新鮮な空気を与えてくれる。保温性があり外気の暑さ寒さからわたしたちを守ってくれる。人間が深くゆっくりと呼吸するように、家もゆっくりと呼吸するように通気をすれば室内は新鮮な空気に包まれ、室内温度も損なわれず湿気も適度に排出され快適な生活が送れるのではないだろうか。
人間の肉体は有機体である。空気を吸って二酸化炭素を吐き出し、水を飲み食物を食べ、新陳代謝を繰り返し大きくなり、いずれ死に土に帰る。有機体であるわたしたちを包む衣服や家も、やがて土に帰る同じ有機体であることが良いと考える。土に帰るもの、つまり「自然素材」が良い。人間と同じように空気を吸い水や養分を摂って大きくなった植物からなる素材、いずれ帰る土からなる素材、これらの「自然素材」を使った第二の皮膚・衣服、第三の皮膚・家であるならばわたしたち人間や環境にも良いのではと感じる。