山喜建設株式会社

呼吸する家

湿気大国日本

先進国の中でも日本は、温暖な気候であり湿気の多いことで知られる。海に囲まれた島国で国土の七割以上を山に覆われ、梅雨があり降雨量が多く水資源の豊かな国としても知られている。

湿気の多いこの国の家づくりとして、何世紀にも渡り受け継がれてきた伝統工法がある。その特徴は素材にあると言える。木・土・紙…それは、湿気から来る不快感を少しでも軽減させるために選ばれた素材である。他の先進国で多く見られる石やレンガではなく調湿性のあるものばかりである。まさに日本の気候を考えて選び出された素材と言えよう。こうした伝統工法は、まさに先人の知恵の結集である。

昨今の生活習慣の変化から、湿気の問題は気候だけにとどまらない。五人家族で一日に発生する湿気の量は10.5リットルにも上ると言われる。その発生となる原因はおもに炊事・入浴・洗濯などの水廻りからの発生であるが、冬場においてファンヒーターやガスストーブなど液化燃料を使う暖房機で、排気ガスを室内に放出するタイプの暖房機を使用する家庭では、排気ガス中に液化燃料を燃やす過程で発生する多量の湿気を含むので更に湿気の発生が多くなる。更に暖房をかけている部屋は室温が高いから乾燥する、その為冬場は加湿機を使っている家庭が多い。

ではいったいこの大量の湿気はどこでどうなっているのだろう。

大きく2つの行き先が考えられる。1つは室内、もう1つは壁の中(壁体内)である。暖かく湿った空気がひとたび冷えた物体に触れれば結露を起こし水滴となる。室内を漂う湿気は、大半がガラスに触れそこで冷やされ結露し水滴となる。ただ最近はガラスを二重にして断熱効果を高めるペアガラスが多く使われているため、室内を漂う湿気はガラスに触れ結露しようにも結露できなくなっている。カーテン・カーペット・タタミなど湿気をある程度吸収できるものがある場合はそれらがある程度は吸収してくれる。恐ろしいのはその湿った空気が、たんすの裏側や押入れの中に入りこんで、そこで冷やされ結露を起こし水滴となることである。

たんすの裏のホコリや押入れの布団は、適度に養分を含んでいるので湿った状態になるとカビを発生させる。発生したカビにダニがわく。そのカビやダニの死骸が空気中に漂い、それを吸った子供が喘息やアトピーになると言う。小児喘息の場合、夜になって咳き込むのは、たんすの裏や布団に着いたカビやダニの死骸やホコリなど、空中を浮遊していたものが、寝静まってから徐

次に壁の中(壁体内)であるが、湿気は基本的に高い湿度の空間から低い湿度の空間へ移動する。これは、温度や気圧でも同じことが言え、高い所から低い所へ移動する。冬場の室内の暖かく湿った空気は、冷たく乾いた屋外へ移動しようとする。つまり、暖かく湿った空気は室内のわずかな隙間を抜けて屋外へ出ようとする。このわずかな隙間を抜け出た暖かく湿った空気が、初めに冷やされる場所は屋外ではなく壁の中である。壁の中で外に出られず行き場を失った暖かく湿った空気は、そこで冷やされ結露し水滴となる。水滴はグラスウールなどの断熱材に吸収されるか、木材などの材料に吸収される。グラスウールに吸収されると、大変恐ろしいこととなる。

本来、断熱材は室内へ外気温を伝えないように施工される物で、その為に断熱材は空気をいっぱい含んでいる。いったん結露で湿った状態になると断熱材としての性能は格段に落ちてしまい、壁体内の温度は外気温に侵され冷やされていく。これにより更に結露が進行し、グラスウールは水滴をどんどん含み濡れた綿状になり、周りの木材を湿った状態に変えていく。

木材は乾燥した状態であれば、百年は楽にもつ。法隆寺が千年以上経った今でも在り続けるのは、使われている木材の材種にもよるが、何より構造に使用してある木材が乾燥した状態に保たれているからだ。しかし、木材は湿った状態が続くと、木材腐朽菌などのカビが繁殖し腐ったり白蟻の餌食となる。

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