山喜建設株式会社

呼吸する家

はじめに

昨今の住宅は、わたしたちが幼かった頃暮らした住宅とはずいぶん様変わりしている。

わたしが幼い頃住んでいた家は、築40年ぐらいであったとは思うが、和瓦に漆喰壁、タタミ敷の居間に無垢板の廊下、木のガラス戸に木の雨戸、戸を開けなくても「スースー」とかすかな隙間風が吹いて、冬は寒かったが部屋の空気は澄んでいた。家に帰るとかすかに古くなった木の匂いがして、デコボコした廊下を駈け抜けた奥に自分の部屋があった。土壁に塗ってある繊維壁の金粉がこすれると取れてあちこちに落ちていた。

そんな家に住んでいたが、その頃「アレルギー」や「シックハウス」などという言葉は聞いたことが無かった。わたしは幼い頃、今で言う「アレルギー」なのか分からないが「たむし」がひどく、よく体をかきむしってはいたが、血が出るまでかいたことはないし薬を付けることもなく治ってしまった。

今の住宅は密閉性・断熱性が良く、幼い頃わたしが住んでいた家と比べると遥かに居住性が良くなっている。「冬暖かく、夏涼しい」まさに昔憧れた住宅が今現実に建てられている。床はフローリングでデコボコは無くワックスでピカピカ、壁はクロス貼りですっきりと仕上がっていて、こすると金粉が落ちることは無い。システムキッチン・システムバス・ウォシュレットなど快適装備満載の夢の住宅である。

しかし、何かがおかしい。これが本当に自分が求めていた住宅なのか?「家」とは何なのか?そんな疑問が沸いてくるのはわたしだけなのだろうか?

当社は創業以来、注文住宅一筋40年になる工務店で、私はこの会社に入社して18年になる。今までに100棟以上の家づくりを経験した。年々、設備機器・建築材料は改良されわたしがこの業界に入った頃とはお客様のニーズも変わり、施工方法なども大きく変化し近代的で良質な住宅が造られている。お客様の希望をかなえる仕事をする傍らに、「自分の家だったらこうする」という思いをお客様に提案してきた。そんな中で沸いてきた疑問。昔住んでいた家は今思えば懐かしいが、かと言って昔の家に戻ることが良いと言っているのではない。時代と共に変化している生活習慣を無視して家は考えられない。色や形、デザインも家づくりにとって大切なことと考える。しかし、何かおかしい。

わたしが住みたい「家」について考えてみた。

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